10月3日 ちくわ
「寒くなったなぁ」
送迎中の車の中で、利用者さんと話をしていました。
雪が降ればもっと大変になるんだと、杉林に覆われた山の一本道で話をしている中で、
昔はもっと雪が多かったんだと、話をされました。
利用者さんが、20歳かそこら頃の、冬の思い出の話になり、
この方は、山間の集落に住んでいる方なのですが、
冬の山道を何時間もかけて、下の集落まで遊びに出かけていたというのです。
そこまでして何があるのかと聞くと、当時山を下りた集落には、映画館があったということでした。
その映画館に行くために、冬の山道を何時間もかけて下りていったというのです。
「そりゃぁ (映画館に) 行くときは楽しみで、苦にもならなかったけど、帰り道が辛くてよ」
と、笑いながら話してくれました。
行き (下り) はヨイヨイ、 帰り (上り) はコワイ
というわけですね。
そして、本日偶然にも、当時その映画館があったという場所を、車で通ったのです。
「ここだここだと」、話す先にあったのは、
なんと、当時の映写機が、店の看板のように玄関口に置かれていたのです。
半分、昔の小さな集落に映画館があったという話が信じられなかったのですが、
これを見ては納得しないわけにはいきません。
そういえば、私が子供の頃には、寒河江市にも映画館はあって、河北町にだって映画館があったそうです。
西川町にあってもなんら不思議ではないのですね。
今とはなっては、全てなくなってしまいました。
そうして、昔の映画の話をしながら、最後に笑って利用者さんが話してくれたことが印象的でした。
「 帰り道は辛いし、腹も減るしでよ。
店は、八百屋が一軒しかなくてな。
当時は、パンなんて売ってなかったから、
二人で、ちくわを買って食べながら帰ったんだ。
・・・あのちくわはうまかったなぁ。 」
私の頭の中で、おでんの具のような太いちくわが、しばらく揺れていました。
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